グリーストラップとは
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業務用厨房に設置が
義務付けられた装置
グリーストラップ(英:Grease Trap 略:グリスト)は、日本語では「油脂分離阻集器」と呼ばれ、業務用の厨房に設置が義務付けられています(建設省告示第1597号)。
厨房から出る排水には、油や野菜くず・残飯などのゴミが多く含まれています。それを直接下水道に流してしまえば、自然環境が破壊されかねません。グリーストラップはその名の通り、「グリース(油)」をせき止めるための「トラップ(罠)」です。排水を下水道に直接流すことを防ぎ、自然環境を守るためにつくられました。
グリーストラップが
必要な理由
グリーストラップには設置義務がありますが、法律的には設置しなくても問題はありません。しかし設置義務とは別に、下水道法という法律に抵触する恐れがあります。そのため、業務用厨房では設置しないという選択肢はありえません。
下水道法では、下水に流して良いとされる水質基準が定められています。一般家庭の排出レベルであれば、そのまま流しても問題はありません。しかし、多量の油を使用し、多くの生ゴミが出る業務用厨房の場合、水質基準をクリアすることはできません。また、未設置の場合、配管詰まりが発生しやすくなり、汚水の溢れや配管破裂などのリスクがあります。そのため、飲食店ではグリーストラップを設置しなければいけないのです。
さらに設置するだけではなく、グリーストラップを正しく機能させるため、定期的なチェックや清掃などの管理も必要です。
グリーストラップの仕組み
グリーストラップは、こちらの図のように3つの槽に分かれていることがほとんどです。それぞれの槽には、ゴミの除去、油と水の分離、油と汚泥の分離汚泥といった役割があります。
第一槽 | 排水に混ざっている残飯や生ゴミなどの除去を行います。大きなゴミはバスケットにより受け止めます。細かいゴミは槽の底に沈殿させることで、次の槽に流れ出ないようにします。 | 第二槽 | 第三槽 |
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排水に混ざっている残飯や生ゴミなどの除去を行います。大きなゴミはバスケットにより受け止めます。細かいゴミは槽の底に沈殿させることで、次の槽に流れ出ないようにします。 | 第二槽 | 油分と水を分離する槽です。第二槽はスライド板で仕切られていて、下部だけすき間が開いています。油は水に浮く性質があるため、油と水が分解されて、すき間から水のみが第三槽へ流れます。 | 第二槽にて取り除けなかった油脂をさらに取り除き、汚泥を分離する槽です。トラップ管を通り、汚泥や油脂がある程度分離された状態で下水道へ排水されます。 |
第三槽 | 第二槽にて取り除けなかった油脂をさらに取り除き、汚泥を分離する槽です。トラップ管を通り、汚泥や油脂がある程度分離された状態で下水道へ排水されます。 |
グリーストラップでは、油脂やゴミを取り除いて下水道に排水を流します。分離後のグリーストラップ内には、汚泥やゴミが溜まり続け、分離能力が徐々に低下していきます。汚れを放置すると、排水管の詰まりや悪臭・害虫(ゴキブリやハエなど)の発生原因にもなります。
機能を最大限に活用し、現場の環境を衛生的に保つためにも、グリーストラップは定期的な清掃が必要です。
役割を十分に発揮するための
重要な部品
大きな生ゴミを取り除く
~バスケット~
バスケットは、排水に混ざっている残飯や生ゴミを受け止めるものです。網目の大きさは米粒を通さない程度の細かなものになっています。そのため目詰まりしやすく、毎日の清掃が欠かせません。バスケットに生ゴミを蓄積させてしまうと、菌の増殖や悪臭が漂い、衛生環境が著しく低下します。また、残飯はネズミや害虫などのエサになります。
バスケットを日々清掃することはもちろん、網目が広がっていないかなどの点検も定期的に行いましょう。
槽を仕切って排水を適切に処理する
~仕切り板~
グリーストラップの各槽を仕切る板を仕切り板、またはスライド板と呼びます。グリーストラップでは、この仕切り板によって、3つの処理区画がつくられています。
仕切り板には、水の勢いを弱めて滞留させ、油や汚泥を分離するという役割があります。それぞれの区画にて、汚泥の沈殿や油を浮かせることで、下水道法に抵触しない状態での排水を実現します。仕切り板により水が流れていないように見えますが、仕切り板を外すとせき止められていた油が流れてしまいますのでご注意ください。
油脂を除去した水を排水する管
~トラップ管~
トラップ管はグリーストラップ最後の部品であり、油脂を含まない水を排水する役割があります。
油脂は二槽目で分離されますが、すべて除去できるわけではありません。そのため、残った油脂を三槽目でも浮かせて水と分離させます。トラップ管はその油脂を侵入させないため、油脂層よりも下の水中に沈められます。
グリストを塞いで悪臭をシャットアウト~蓋~
蓋は、グリーストラップを塞ぐ形で上に設置するものです。蓋には、悪臭の抑制やグリーストラップに人が落下するのを防ぐ役割があります。劣化するとスタッフの落下事故が発生したり、臭いがあがって現場に臭いが立ち込めたりするため、定期的な点検が必要です。
蓋には、鉄製とステンレス製があります。ステンレス製は耐久性が高く、腐食・破損リスクが少なく手入れしやすいのがメリットです。その一方で、鉄製の2倍ほどのコストがかかります。